便秘は頬やあごのニキビ、毛穴の開き、乾燥などの原因に。腸活によって腸からくる肌荒れを改善しましょう!
便秘が肌荒れを引き起こすのは、腸と皮膚がつながっているからです。水や栄養素をはじめ、肌に到達する物質は基本的に腸を経由するため、腸内環境が悪いと皮膚の状態も悪くなります。
今回は便秘と肌荒れをテーマに、両者の関係やトラブルが起きやすい場所、改善方法などを紹介します。便秘がちで肌荒れにもお悩みの方はぜひ参考にしてください。
便秘で肌荒れする理由。腸からくる肌荒れとは
便秘で肌荒れが起こる理由としては、第一に腸内で産生される腐敗物質による影響が挙げられます。便秘のように腸内環境のバランスが乱れた状態では、腸内でアンモニアやフェノール、アミン類などの腐敗物質がたくさん作られます。これら腐敗物質が血流に乗って腸管から皮膚まで届いてしまうことが、便秘で肌荒れが起こるおそらくの原因です。
また便秘によって栄養素の吸収効率が低下し、皮膚のバリア機能の質が下がってしまうということもいえます。肌の水分を保持し、外因から皮膚を防御する角層のバリア機能は、食品からの栄養摂取によってその状態を維持しています。しかし、便秘になるとビタミンB2、B6や葉酸の吸収効率が悪くなると言われており、肌のバリア機能にも悪影響があると考えるのが自然です。
さらに前提として、基本的に私たちの体内に入ってくるものは全て腸を経由します。この前提を知っておくと、腸内環境の不良が肌に悪いことがイメージしやすいでしょう。
便秘と関係する肌荒れの種類
便秘と関係する肌荒れの種類は、ニキビ・吹き出物、毛穴、色ムラ、くすみ、かゆみ、乾燥、つや不足、はり不足*など多様です。ファンデーションののりも、便秘の解消によって改善する可能性があります。
また便秘はアトピー性皮膚炎の発症リスクを上げる要因です。便秘の人は、性別や持病の有無、飲んでいる薬の種類などによらず、アトピーになる可能性が高いというデータがあります。
なお、便秘とあまり関係しない肌荒れはシミです。シミの発生には、腸内環境よりも紫外線による影響が大きいと考えられます。
*根拠として、便秘改善でこれらの肌荒れも改善したという報告があります(Jpn. J. Lactic Acid Bact. Vol. 28, No.1, 12-17.)
便秘で肌荒れしやすい場所
便秘で肌荒れしやすいのは、頬・口の周り・あごです。腸内環境が悪化すると、これらの場所にニキビができやすいといわれています。
またリフレクソロジーの世界では、おでこが小腸・大腸の反射区です。おでこのニキビは、腸の疲れを表すともいわれており、便秘による肌荒れとも関係すると考えられます。
ただし、便秘による腸内環境の悪化は、栄養吸収の不良を通じて皮膚全体のバリア機能を低下させる恐れがあります。つまり、場所を問わず、顔・体全体の肌荒れに便秘が関係する可能性があるということです。
肌荒れの原因となる便秘の改善方法
肌荒れにも関係する便秘の改善には、以下の方法を試してみてください。
腸内環境を整える食べ物を摂取する
腸内環境を左右する一番の要因ともいえるのが食習慣です。腸内細菌のバランスを整えたり、腸の動きを活発にしたりするために、以下の食べ物を摂取してみましょう。
乳酸菌をはじめとするプロバイオティクス
乳酸菌やビフィズス菌などのプロバイオティクス(善玉菌)には、腐敗細菌の繁殖を抑え、腸内環境を整える働きがあります。乳酸菌を4週間摂取することで、女性の慢性便秘および肌荒れが改善したというデータも存在します。
プロバイオティクスの摂取におすすめなのは、ヨーグルトやキムチ、納豆などの発酵食品です。乳酸菌飲料やサプリメントを摂取するのもよいでしょう。
プロバイオティクスについては以下の記事でも詳しく解説しています。
善玉菌を増やす水溶性食物繊維・オリゴ糖
水溶性食物繊維やオリゴ糖は、プロバイオティクスのエサとなり繁殖を助けるプレバイオティクスです。プロバイオティクスと合わせて摂ることで、腸内の腐敗を抑え、ぜん動運動を促進する効果が期待できます。
また水を含んでゲル化する水溶性食物繊維には、便にうるおいと滑らかさを与え、排便を促す効果も。水溶性食物繊維は海藻類やおくら、山芋、モロヘイヤ、なめこなどのネバネバ食材に多く含まれます。オリゴ糖を多く含む食材は、ごぼうや玉ねぎ、大豆などです。
不溶性食物繊維を含む豆類や穀類、野菜
不溶性食物繊維には、便のかさを増やして腸管を刺激し、ぜん動運動を促す作用があります。とりわけ大腸周りの筋肉がゆるみ、ぜん動運動の機能が低下する弛緩性便秘の改善に有効といわれます。
不溶性食物繊維を多く含む食べ物は、豆類、穀物、きのこなどです。さつまいも・じゃがいもなどのいも類、野菜ではキャベツやほうれん草などにも多く含まれます。これら不溶性食物繊維の多い食品を摂ることで、便が大腸を通過する時間が短くなり、便秘が解消する可能性があります。
ただし、不溶性食物繊維を摂り過ぎると便のかさが大きくなりすぎて逆に便秘が悪化することがあるので注意が必要です。重度の便秘症の方は、医師等に相談のうえ、食物繊維の摂取量を決めることをおすすめします。
不飽和脂肪酸を含む植物油やナッツ、青魚
脂質には、便の滑りを良くする、腸のぜん動運動を亢進するといった作用があり、便秘の解消にも効果が期待されます。
脂質の中でも、皮膚の炎症抑制や中性脂肪の減少などに効果がある不飽和脂肪酸がとくにおすすめ。不飽和脂肪酸は植物油や魚の脂に含まれ、オリーブオイルや亜麻仁油、ナッツ類、青魚などから摂取できます。
水分を1日1.5〜2リットル摂ることも大切
適度な水分は便に重さと軟らかさを与えるため、スムーズな排便につながります。一方、水分量が少ないと、便が軽く硬い状態になりがちで便秘の原因となります。
よって、便秘を解消するには、1日1.5〜2リットルを目安に水を飲むのがおすすめ。起床後にコップ1杯の水で腸を刺激することから始めて、こまめに十分な水分を摂取しましょう。
便秘改善のヨガやストレッチ、マッサージ
腹直筋や腸腰筋など、腸周りの筋肉をゆらしたりひねったりする体操も、便秘の改善におすすめです。ヨガでは、寝転んで膝を抱える「ガス抜きのポーズ」、両膝を片側に倒してお腹をひねる「ワニのポーズ」などがよいといわれます。
またおへそを起点に手のひらで「の」の字を書くようにマッサージすることも、便秘改善に効果的とされる方法です。そのほか、みぞおちから下腹部までを上下にさするマッサージも、お腹の血行を改善し排便を促すとされています。
こうしたヨガやマッサージでリラックスし、副交感神経を優位にすることで、ぜん動運動が促されることもポイントです。
手・足・顔のツボ押しも手軽にできておすすめ
便秘改善に効くといわれる手のツボは、親指と人差し指の水かき部分にある「合谷(ごうこく)」です。足ツボでは、両足とも土踏まずのあたりに消化管と関係するツボ・反射区が集中しています。
また顔のツボでは、頬骨のくぼみ・小鼻の膨らみ・口角のきわを指圧すると便秘が改善するともいわれます。こうしたツボ押しは手軽に実践できるため、取り入れてみるのがおすすめです。
便秘薬や漢方薬を利用する
便秘薬のうち、より自然に近い感覚で出せるのは、便をやわらかくしたり量を増やしたりして排便を促す非刺激性便秘薬です。「どっさり、すっきり」の排便を望むなら、大腸に直接作用してぜん動運動を亢進する刺激性便秘薬が適しています。
また漢方薬では「大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)」「麻子仁丸(ましにんがん)」「調胃承気湯(ちょういじょうきとう)」などが定番。
お店でどの便秘薬を買ってよいかわからない場合は、薬剤師や登録販売者に相談して選ぶのがおすすめです。持病や処方薬のある方は、まずはかかりつけ医にご相談ください。
便秘からくる肌荒れへの対処法【スキンケア】
便秘と関係する代表的な肌荒れは、頬や口周り、あごのニキビ。ニキビの直接的な原因は毛穴の詰まりなので、1日2回を目安にクレンジング・洗顔料でしっかり洗浄することが重要です。
洗浄後は、抗炎症成分のグリチルリチン酸ジカリウムやアライトインなどを配合したスキンケア化粧品を使うのがよいでしょう。ただし、炎症がひどい場合は化粧品では対処できないため、皮膚科を受診して塗り薬等をもらうのがおすすめです。
また便秘が改善すると肌の水分量が増すとの報告があることから、便秘中は肌が乾燥しやすいと考えられます。そのため、シートパックや導入美容液なども活用しつつ、保湿をしっかり目に行うことも大切です。
まとめ:便秘と肌荒れの同時改善に乗り出そう!
腸と皮膚には密接な関係があるため、便秘はニキビや乾燥といった肌荒れを引き起こします。これをプラスに捉えると、便秘を改善すれば肌がキレイになる可能性があるということになります。
便秘がちで、かつ皮膚の状態もあまりよくないと感じている方は、これを機会に便秘改善に乗り出しましょう。発酵食品を食べたり、ヨガやツボ押しをしたり、手軽に試せることからぜひ始めてみてください。