SOD酵素とは?効果や増やす方法、食品・サプリでの摂取などについて解説

SOD酵素(スーパーオキシド消去酵素)は、ヒトを含めた生物が持っている抗酸化作用のある酵素のこと。活性酸素による酸化ストレスを抑制し、私たちの体を老化や生活習慣病から守ってくれている物質です。

今回はそんなSOD酵素について、効果や増やす方法を含めて詳しく解説します。食品やサプリメント、化粧品での抗酸化に関してもお伝えするのでぜひ参考にしてください。

SOD酵素とは

SOD酵素とは、細胞傷害の原因となる活性酸素の一種「スーパーオキシド」を消去できる酵素です。SODは「Superoxide dismutase(スーパーオキシドの不均化※)」を略したもの。日本語では「スーパーオキシド消去酵素」や「活性酸素分解酵素」などと呼ばれます。

SOD酵素は、呼吸に伴ってミトコンドリア内で発生する活性酸素を消去しています。SOD酵素のないマウスは生後すぐに死んでしまうという研究結果もあり、人間の健康維持に欠かせない物質です。

※不均化:2つの分子を2つの別の分子に変えること

活性酸素については以下の記事で詳しく解説しています。こちらの記事もぜひご覧ください。

SODが活性酸素を消去する仕組み

SOD酵素は、化学反応を触媒することで活性酸素(スーパーオキシド)を消去します。具体的には、スーパーオキシドと水素イオンを過酸化水素と酸素に変換する反応を触媒します。

SOD酵素が触媒する活性酸素(・O2)消去の反応式

なお、そうした触媒機能に利用されるのが、銅や亜鉛、マンガンといった金属イオンです。ヒトの場合、細胞質や細胞が異空間では銅と亜鉛を含むSODが、ミトコンドリアではマンガンを含むSODが使われています。

SOD酵素の効果

SOD酵素の効果は、活性酸素による攻撃から細胞を守り、寿命を伸ばすことです。体重と比例して生成される活性酸素の量も多い霊長類、とりわけヒトが長生きできる要因は、SOD活性の高さにあるともいわれています。

なお、ここでいう「寿命を伸ばすこと」とは、主に活性酸素が引き起こすがんや動脈硬化などの疾患の予防です。また活性酸素による酸化ストレスはシミやたるみといった老化にもつながるので、SOD酵素の働きは美肌とも深い関係があります。

SOD酵素を増やす方法

SOD酵素を増やす方法としては、タンパク質と銅・亜鉛・マンガンの十分な摂取が考えられます。これらはSOD酵素を構成する成分であり、供給を安定させることでSODが増える(もしくは減らない)ことにつながる可能性があるでしょう。

ただし、SOD活性は加齢によって変化しない、もしくは若干の増加傾向を示すという研究報告が多く見られます。一方、活性酸素の生成は、加齢によって増加するとされています。

そのため、エイジングケアや生活習慣病の予防といった観点では、SOD酵素を増やすよりもむしろ、活性酸素を減らす、増やさないことのほうが重要です。活性酸素を減らす方法としては、適度な運動やストレスケア、アスコルビン酸(ビタミンC)をはじめとする抗酸化物質の摂取などが挙げられます。

SOD酵素の食品・サプリでの摂取について

近年、SOD酵素を含む食品やサプリメントに注目する動きも一部で見られます。しかし、SOD酵素を経口摂取しても抗酸化にはつながらないと考えられます。タンパク質を主成分とするSOD酵素は、胃液や小腸の消化酵素などでアミノ酸に分解されてしまうからです。

活性酸素が原因となって生じる老化や疾患を防ぐには、体内でSOD酵素のように働く抗酸化物質を食品やサプリメントから摂取するのがよいでしょう。例えば、ポリフェノールを多く含む小豆には、SOD様活性(SOD酵素のように活性酸素を抑制する働き)が確認されています。SOD様活性を示す抗酸化物質には、ポリフェノールのほか、アスコルビン酸、トコフェノール、カロテノイド※などがあります。

※アスコルビン酸=ビタミンC、トコフェノール=ビタミンE、カロテノイド=プレビタミンA(人体でビタミンAになる物質)

SOD酵素を配合した化粧品の有用性について

SOD酵素を配合した化粧水や美容液なども一部で販売されていますが、SOD酵素を肌に浸透させることの抗酸化効果は不明です。大手の化粧品メーカーから同様のスキンケア化粧品が出ていないことを踏まえても、エイジングケアに最適な方法とはいえないでしょう。

抗酸化によるエイジングケアには、アスコルビン酸やトコフェノール、レチノールなどの誘導体を含むスキンケア化粧品がおすすめです。それら抗酸化物質を肌に浸透させることにより、シミやシワなどの予防、改善につながる可能性が考えられます。

まとめ

SOD酵素による活性酸素の消去は、人体に元々備わっている抗酸化の仕組みです。SOD酵素が呼吸によって生み出される膨大な活性酸素を日々除去してくれるからこそ、人間は長く生存できます

しかし、加齢や過度な運動、ストレスなどで活性酸素が増えると、やがてSOD酵素だけでは処理が追いつかなくなります。そのため、食事やサプリメントで抗酸化物質を摂取する、生活習慣を整えるなど、抗酸化のための取り組みをすることが大切です。

参考文献
  1. 中村成夫. 活性酸素と抗酸化物質の化学. 日医大医会誌 2013; 9(3), 164-169佐藤英介ほか. 活性酸素. 日衛誌. 2002, 56, 606-614
  2. 佐々木徹. 自然老化動物を用いた酸化ストレスの解析と抗老化研究. YAKUGAKU ZASSHI. 2010, 130(1), 29-42
  3. 神谷育ほか. 小豆餡のポリフェノール量,SOD様活性および培養細胞における活性酸素の産生抑制. 日本食品科学工学会誌. 2015, 62巻7号, 349-353
  4. スーパーオキシドディスムターゼ. ウィキペディア. 2023/05/23. https://ja.wikipedia.org/wiki/スーパーオキシドディスムターゼ, (2023/12/06参照)