カロテノイドとは?抗酸化作用をはじめとする効果や含有量の多い食品などを紹介

カロテノイド色素の抗酸化作用やビタミンA活性について解説!多く含む食品や過剰摂取のリスクなども紹介

カロテノイドとは、βカロテンやルテイン、アスタキサンチンといった、緑黄色野菜やサケ科魚類などに含まれる色素です。活性酸素を除去する抗酸化作用に優れているほか、目や脳の機能維持にも好影響をもたらすとされています。

今回はそんなカロテノイドについて、構造や効果、種類などを含めて詳しく解説します。カロテノイドの摂取におすすめの野菜ジュースやサプリメントなども紹介するのでぜひ参考にしてください。

カロテノイドとは

カロテノイドとは、動植物に存在する赤・黄・橙色といった脂溶性の天然色素です。βカロテンやリコピンなどのカロテン類、ルテインやアスタキサンチンなどのキサントフィル類に二分されます。いずれも緑黄色野菜やサケ・マス、甲殻類などに多く含まれる成分です。

カロテノイドには、高い抗酸化能力があります。老化や生活習慣病の原因とされている活性酸素を除去し、健康を維持するのに有用です。

またカロテノイドは、ヒトの体内でビタミンAに変換されるため、「プロビタミンA」とも呼ばれます。ビタミンAは、皮膚や粘膜、目の健康に寄与します。カロテノイドおよびビタミンAは、人体で合成されないので、食事やサプリメントでの摂取が必要不可欠です。

カロテノイドの構造的な特徴

カロテノイドの構造は、基本的に9個の共役二重結合を持つ鎖状ポリエン(炭化水素※)+エンドグループです。共役二重結合の数が多いことから可視光線の吸収特性が低く、炭化水素には珍しく赤やオレンジ、緑など鮮やかに発色します。

カロテノイドの分類(カロテン類かキサントフィル類か)を決めるのは、エンドグループの構造です。カロテン類は炭化水素なのに対し、キサントフィル類は水酸基(-OH)やカルボニル基(-CO)など酸素原子を含む構造をしています。そのため、カロテノイドは基本的に脂溶性ですが、キサントフィル類は酸素原子を含む分、やや水に馴染みやすいといえるでしょう。

またカロテノイドの骨格は、基本的に炭素数40で構成されています。ただし、炭素水40以下のアポカロテノイドや、炭素数45ないし50の高級カロテノイドも存在します。

※炭化水素:炭素と水素の原子だけでできた化合物のこと

カロテノイドの効果

カロテノイドは高い抗酸化作用を持ち、免疫機能の補助や皮膚の健康維持、がんをはじめとする生活習慣病の予防などに役立ちます。またビタミンAに変換され、視力や細胞の健康に寄与する効果もあります。

活性酸素の消去【抗酸化作用】

カロテノイドは、活性酸素を消去する抗酸化作用に優れています。酸化ストレスを軽減し、アンチエイジングや病気を予防するのに効果的です。

カロテノイドの中でも、βカロテン・リコピン・カンタキサンチンはとくに高い抗酸化能力を持ちます。そのため、それらのサプリメントか、にんじん・トマト・サケなどを積極的に摂取するのがおすすめです。

またアスコルビン酸(ビタミンC)が水溶性なのに対し、カロテノイドは脂溶性の抗酸化物質です。よって、アスコルビン酸とカロテノイドの両方を摂取することで、より効果的に活性酸素を消去できる可能性があります。

目や皮膚の健康維持【プロビタミンA】

カロテノイドは、肝臓や小腸でビタミンAに変換される性質もあります。そのため、「プロビタミンA※」とも呼ばれます。

ビタミンAは、皮膚や目の粘膜の健康を維持するのに大切な栄養素です。よって、プロビタミンAであるカロテノイドの摂取は、美肌や眼病の予防に効果的だとされています。

なお、カロテノイドのうち、プロビタミンAの能力がとりわけ高いのはβカロテンです。βカロテンは抗酸化能力も高いため、積極的な摂取をおすすめします。

※ルテインなど、プロビタミンA活性のないカロテノイドも存在します

カロテノイドの不足や過剰摂取の危険性

カロテノイドは、不足や過剰摂取に心配が比較的少ない物質だといえます。とはいえ、リスクがないわけではないため、欠乏や摂りすぎによってどのような事態が起こり得るのかを知っておきましょう。

不足はビタミンA(レチノール)欠乏につながる恐れ

カロテノイドは体内でビタミンA(レチノール)に変換されるため、カロテノイド不足はビタミンAの欠乏につながる可能性があります。

ビタミンAは目や皮膚、粘膜の健康維持に必要な栄養素です。ビタミンAが欠乏すると初期には夜盲症、ひいては結膜・角膜乾燥症、失明などが起こりえます。

日本人の平均的な食生活ではビタミンAは不足しにくいといわれています。しかし、ダイエットやアルコール摂取などの状況によってはこの限りではありません。抗酸化作用による美容・健康上の効果を踏まえても、カロテノイドの積極的な摂取はおすすめです。

過剰摂取についてはサプリでの摂取をやや注意

カロテノイドは必要な分だけビタミンAに変換され、多い場合は変換が減少します。そのため、カロテノイドを摂りすぎてもビタミンAの過剰は起こりにくく、一般的に安全だと考えられています。実際、全米医学アカデミー(NAM)でも、カロテノイドの上限量は設定されていません。

ただし、カロテノイドをサプリメントで摂取する場合には十分な注意を払いましょう。カロテノイドのサプリメント摂取と健康の関係については、科学的に未解明の部分が多いからです。喫煙者の場合、βカロテンサプリの摂取で肺がんの発生率が上昇したという報告もあります。

ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は、βカロテンサプリの摂取量を1日2mgまでと勧告しています。カロテノイドをサプリメントで摂取する場合には、この値を参考にするとよいでしょう。

βカロテンサプリと喫煙者の肺がんリスクについては以下の記事で詳しく解説しています。喫煙習慣がある場合、カロテノイドのサプリメントは肺がんを誘発する可能性があり、摂取はおすすめできません。

カロテノイドの種類と多く含む食品

カロテノイドは、カロテン類とキサントフィル類に分類されます。以下では、それぞれに含まれる種類や含有量の多い食べ物を紹介します。

カロテン類:βカロテン、リコピンほか

カロテン類は、炭素と水素のみで構成されるカロテノイドの一群です。1830年代に、ニンジンから抽出されたことで発見され、研究が開始されました。「カロテン」という名前は「carrot(キャロット)」に由来します。

カロテン類の代表格は、ニンジンに多く含まれるβカロテンです。βカロテンは、抗酸化作用にも、ビタミンAとして働くプロビタミンAの効果にも優れており、美容と健康に良い物質といえます。カロテン類には、そのほか、トマトに多いリコピンやαカロテン、γカロテンなどがあります。

カロテン類の代表的な種類と多く含む食品

種類食品
カロテンニンジン、モロヘイヤ、カボチャ、メロン、あんずなど
リコピン(リコペン)トマト、柿、金時ニンジンなど
※カロテンはβカロテンのほか、αカロテン、γカロテン、δカロテン

βカロテンを多く含む食品については以下の記事にランキングや一覧を掲載しています。こちらもぜひお読みください。

キサントフィル類:ルテイン、アスタキサンチンほか

キサントフィル類は、カロテノイドのうち、水酸基やケトン基といった酸素を含むエンドグループを持つ一群を指します。カロテンと同じく1830年代に、紅葉からルテインが抽出されたことで、研究がスタートしました。ちなみに「キサントフィル」とは「xantho(黄色い)phyll(葉)」という意味です。

キサントフィル類のうち、ケールや赤ジソなどに含まれるルテイン、サケに多いアスタキサンチンは、美容・健康ととりわけ深く関わります。ルテイン・アスタキサンチンともに抗酸化力が高いほか、目や脳の健康との関連も注目されています。

キサントフィル類の代表的な種類と多く含む食品

種類食品
ルテインケール、シソ(赤)、モロヘイヤ、ほうれんそうなど
ゼアキサンチンケール、ほうれんそう、パプリカ、マンゴーなど
アスタキサンチンサケ、いくら、桜エビなど
カンタキサンチンサケ、マス、伊勢海老など
フコキサンチンコンブ、ワカメなどの褐藻

カロテノイドを摂取できるサプリメント・健康食品

カロテノイドは、緑黄色野菜やサケ科魚類、褐藻などを意識して食べれば、十分に摂取できます。しかし、食生活での栄養管理に神経を使うことは、時としてストレスになることもあります。

そのため、サプリメントや野菜ジュースなどの健康食品を活用してカロテノイドを摂取するのもおすすめです。下記の商品紹介を参考に、ご自身に合った摂取方法を模索してみてください。

なお、キレイ理論では、執筆・監修者が実際に使用したことのあるものを中心に商品を紹介しています。

カゴメ|野菜生活100 オリジナル

カロテノイドαカロテン 850〜6400μg βカロテン 4800〜11000μg
エネルギー66kcal
たんぱく質0.8g
脂質0g
炭水化物16.1g(糖質15.4g、食物繊維0〜1.3g)
ビタミンA430〜1200μg  カロテンより換算
ビタミンC31〜170mg
コップ1杯(200mlあたり)の含有量

コップ1杯で手軽にカロテンが摂れる野菜ジュースです。βカロテンは、野菜ジュースなどの加工品にすると吸収率が1.5倍ほどに上がることが報告されており、効率的な摂取にもつながります。

カロテノイドと同じく抗酸化物質であるビタミンC(アスコルビン酸)を摂取できることも魅力。デスクワーク時のちょっとした糖分補給にもおすすめです。

DHC|アスタキサンチン

アスタキサンチン9mg フリー体換算
エネルギー2.1kcal
たんぱく質0.10g
脂質0.18g
炭水化物0.03g
ビタミンE2.7g
1粒あたりの含有量

ビタミンEの110倍、ビタミンCの6,000倍に相当する抗酸化作用※を持つとされるアスタキサンチンを手軽に摂取できるサプリメントです。ビタミンE(トコフェロール)も含有しており、抗酸化を意識してサプリをお求めの方に向いています

商品パッケージでは、「若々しくキレイでいたい」方や「文字がぼんやりしがち」方におすすめと訴求されています。

※ここでは、活性酸素の一種である一重項酸素を消去する能力のこと

まとめ

カロテノイドの抗酸化作用は、活性酸素によるエイジング(老化)や病気の発症を予防し、“キレイ”を維持するのに役立ちます。またプロビタミンAとして機能するカロテノイドは、目や粘膜、皮膚の健康維持にも有用です。

食事からカロテノイドを摂取する場合、緑黄色野菜や果物、サケ、海藻などを意識して食べるようにしましょう。野菜ジュースやサプリメントなどの健康食品を上手に活用するのもおすすめです。

参考文献
  1. 眞岡孝至, 天然カロテノイドの分析と構造研究, オレオサイエンス, 2012, 10, 12, 485-494.
  2. 株式会社鹿光生物科学研究所, “天然色素-カロテノイド(カロチノイド)”, https://www.rokkou-co.jp/wp/home/food_color_main/天然色素-カロテノイド-カロチノイド, (2023/12/20参照).
  3. 食品安全委員会, ビタミンAの過剰投与による影響, https://www.fsc.go.jp/topics/factsheet-vitamin-a.pdf, (2023/12/20参照).
  4. 金沢和樹, フコキサンチン, 日本食品科学工学会誌, 2008, 55, 4, 194.
  5. “ポリエン”, ウィキペディア, 2023/11/14, https://ja.wikipedia.org/wiki/ポリエン,(2023/12/20参照).
  6. “カロテノイド”, ウィキペディア, 2023/3/23, https://ja.wikipedia.org/wiki/カロテノイド ,(2023/12/20参照).
  7. 酒井健司, “喫煙者にβカロテンは危険 かえって肺がんを増やしたビタミンサプリ”,  朝日新聞DIGITAL, 2021/10/25, https://www.asahi.com/articles/ASPBR4VL1PBRTIPE00C.html,(2023/12/20参照).
  8. “味だけじゃない、野菜をジュースで摂るオイシイ理由”, カゴメ株式会社, https://shop.kagome.co.jp/yasai/index.html,(2023/12/20参照). 
  9. “アスタキサンチンの赤い力”, 産経新聞, 2015/8/29, https://www.sankei.com/article/20150829-KMYZ6M2FPZJTNK4S7FHIPTUJXU/, (2023/12/20参照).