プロバイオティクスとは?効果や代表例、おすすめの食品・サプリメントなどを紹介

プロバイオティクスとは、私たちの健康に良い影響を与える善玉菌のことです。大腸のプロバイオティクスを増やすことで、腸内環境が整い、心身にさまざまな効果が期待できます。

今回はそんなプロバイオティクスについて、代表例や歴史も含めて詳しく解説します。プロバイオティクスの摂取におすすめの食品やサプリメントも紹介するのでぜひ参考にしてください。

プロバイオティクスとは

プロバイオティクス(probiotics)とは、適量を摂取すれば人体に好影響のある微生物(とくに善玉菌)のこと。具体的には、乳酸菌やビフィズス菌などのことです。広義には、そうした善玉菌を含むヨーグルトやサプリメント、整腸剤などもプロバイオティクスと呼びます。

プロバイオティクスが私たちの健康に与える良い影響は、多種多様です。アレルギー、関節炎、ぜんそく、がん、うつ、心疾患、消化器疾患など、さまざまな症状の改善やリスク低減にプロバイオティクスは有効だと考えられています。

またプロバイオティクスは、体重減少にも寄与する可能性があります。さらに腸内環境を整えることは、美肌づくりを考えるうえでも良いことです。以上を踏まえると、プロバイオティクスの摂取は、総合的な美容法・健康法だといえるでしょう。

プロバイオティクスの歴史

プロバイオティクスの歴史は、1907年に発表された微生物学者イリヤ・メチニコフの著書に端を発します。同著でメチニコフは「ブルガリクス乳酸菌を含むヨーグルトを摂取すれば、腸内の腐敗を抑制して自家中毒を予防できる」と言及しました。これは現代の「プロバイオティクス」の考え方に通じる概念です。

時を経て1989年にR. フラーが『Probiotics in man and animals(ヒトおよび動物内のプロバイオティクス)』を執筆。プロバイオティクスの定義を「腸内菌のバランスを改善することで宿主に好影響を与える生きた微生物態の食用化合物※」と改訂しました。

プロバイオティクスの研究は、21世紀に入ってより一層盛んになりました。それは発表された論文の数(の顕著な増加)を見ても明らかです。今後さらに研究は進み、「プロバイオティクス」という言葉やそれにまつわる考え方は、私たちの生活にも普及していくでしょう。

※原文 「’A live microbial feed supplement which beneficially affects the host animal by improving its intestinal microbial balance’」出典は参考文献6

プレバイオティクスとの違い

プレバイオティクス(prebiotics)とは、大腸でプロバイオティクスのエサとなり、その増殖を促進させる化合物のことです。プロバイオティクスと同様、宿主の腸内環境および健康に良い影響を与えます。

プレバイオティクスの代表例は、オリゴ糖と水溶性食物繊維です。どちらも上部消化管(口や胃、十二指腸)では分解・吸収されず、大腸まで届いてプロバイオティクスに食べられます。

ちなみにプレバイオティクスの「pre-」は、「前の、先の」といった意味です。「プレ・バイオティクス」という言葉は、プロバイオティクス繁栄の前段階には、プレバイオティクスの存在があることを示唆します。

プロバイオティクスの代表例

プロバイオティクスの代表例は、乳酸菌・ビフィズス菌・酪酸菌・糖化菌の4種類です。以下ではそれぞれの特徴を紹介します。

乳酸菌

乳酸菌は、発酵によってグルコース(糖類)から乳酸を作る細菌類です。ラクトバシラス属のブルガリクス菌やガセイ菌、ストレプトコッカス属のサーモフィルス菌をはじめ、400ほどの種類があります。

ほかのプロバイオティクスと同じく腸内環境を整えるほか、種類によってはピロリ菌排除などの機能も持ちます。ヨーグルトやチーズ、漬物といった発酵食品の製造に利用される善玉菌としても有名です。

ビフィズス菌

ビフィズス菌は、全動物の腸内に住む偏性嫌気性※の細菌です。人間の大腸にも含まれており、とくに母乳栄養児の腸内細菌叢(腸内フローラ)はほとんどがビフィズス菌で構成されています。

ビフィズス菌には腸の働きを整える整腸作用のほか、腸内の感染や腐敗を抑制する効果もあります。発酵により乳酸と酢酸を産生する「ヘテロ乳酸菌」に分類されることから、広義には乳酸菌の一種です。

※偏性嫌気性:酸素なしで生育でき、なおかつ大気レベルの酸素濃度下では生存できない性質。この性質のため、ビフィズス菌は酸素の少ない動物の腸内をすみかとする。

酪酸菌

酪酸菌は、人を含めた動物の大腸に生息し、酪酸を作る細菌です。酪酸にはぬか漬けや臭豆腐から香るような独特の臭気(汗臭)があります。

酪酸菌は免疫機能の調整に作用するといわれており、健康や長寿との関わりがとりわけ深いプロバイオティクスです。大腸がんや骨粗鬆症、リウマチ、アレルギーの予防、近年では新型コロナウイルス感染症との関連も注目されました。

糖化菌

糖化菌(バチルス菌、ナットウ菌)は、アミラーゼを産生してデンプンから糖を作る細菌です。

糖化菌は、糖から乳酸を作る乳酸菌やビフィズス菌の増殖を促進することで知られています。また悪玉菌の抑制にも働きます。

プロバイオティクスの効果

胃腸の疾患、関節炎、喘息、がん、心臓病(の改善ないし予防)をはじめ、プロバイオティクスの健康効果は多岐にわたります。これらは主に、プロバイオティクスが腸内細菌のバランスを改善し、悪玉菌の増殖を抑えて腸内環境を整えることから生じる効果です。

また腸と脳には密接な関係があることから、プロバイオティクスは間接的に脳にも好影響を与えると考えられています。気分と認知機能を高め、ストレスと不安を減らすという効果です。このことから、プロバイオティクスはうつ病の治療に役立つ手段としても注目されています。

プロバイオティクスの副作用・危険性

プロバイオティクスには基本的に副作用がほとんどないとされています。しかし、プロバイオティクスの安全性に関するデータ、とりわけ長期にわたって摂取した場合の安全性についてのデータは限定的です。そのため、危険性がないとはっきりは断言できません。

また仮にプロバイオティクスに何らかの副作用があったとして、基礎疾患を有する方では、重篤な事態に陥るリスクがより高くなるとも考えられます。持病のある方は、プロバイオティクスの摂取を始める前に、かかりつけ医に相談するのがおすすめです。

加えて、未熟児にプロバイオティクスを与え、深刻な、もしくは致命的な事態に陥ったケースが複数報告されています。一方で、未熟児や低出生体重児へのプロバイオティクス投与が有益であるという研究もありますが、実行にはかかりつけ医を交えた慎重な判断が必要でしょう。

プロバイオティクスを含む食品

プロバイオティクス(乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌)を含む食品は、主に発酵食品です。具体的にはヨーグルトや味噌、漬物、キムチ、ナチュラルチーズ※などが挙げられます。

ヨーグルトに関しては、「プロバイオティクスヨーグルト」という商品ジャンルを設けているメーカーやモールもあります。購入の際に参考にしてみてください。

またプロバイオティクスの効果をより高めるには、プレバイオティクス(善玉菌のエサ)であるオリゴ糖や水溶性食物繊維を含む食品の摂取もおすすめです。オリゴ糖は大豆、玉ねぎ、バナナなど、水溶性食物繊維は大麦、ごぼう、納豆などに多く含まれます。

※プロセスチーズは加熱処理の過程で菌が死滅するため、基本的にプロバイオティクスを含まない

プロバイオティクスヨーグルトの例

おすすめのプロバイオティクスサプリ

基本的にプロバイオティクスは人体に良い影響を与えるものですが、各自の体質によって合う合わないがあるとされています。一般には良いとされている善玉菌でも、自分に合っていなければ、摂取しても十分な効果が得られないこともあるということです。自らに合うプロバイオティクスが見つかるまで、取捨選択が必要になります。

プロバイオティクスのサプリメントを選ぶ際は、まず定番の乳酸菌サプリやビフィズス菌サプリから始めるのがよいでしょう。継続的に摂取してみて体調に好影響を実感できなければほかの商品に移るという具合に、試行錯誤を繰り返すのがおすすめです。

摂取を継続する目安は2週間以上。プロバイオティクスは腸内に数日しか滞在しないとされているので、毎日続けて摂取し、効果を観察してみてください。

定番のプロバイオティクスサプリ

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まとめ

プロバイオティクスとは、私たちの腸内環境を整え、総合的に健康効果を発揮してくれる魅力的な生物です。プロバイオティクスにより、“キレイ”は腸から作れると私たちは考えています。

腸から健康になるために、ヨーグルトや乳酸菌サプリなど「プロバイオティクス食品」の摂取を意識しましょう。プロバイオティクスのエサとなるプレバイオティクス(オリゴ糖や水溶性食物繊維)を摂るのもおすすめです。

参考文献
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